はじめに
AIと会話していると、最初はスムーズに答えてくれていたのに、やり取りを重ねるうちに「なんだかズレてきた…」「同じ説明をしても堂々巡りになる…」と感じたことはありませんか? 実はこの現象、単なる気のせいではなく、最新の研究でもAIが会話を重ねると“迷子”になる傾向があると示されています。
この「迷子現象」は、ChatGPTやClaude、Geminiといった最新のAIでも共通して観測されており、決して古いモデルだけの弱点ではありません。 本記事では、その原因をわかりやすく解説しつつ、どうすればAIから安定して質の高い回答を引き出せるのかを紹介していきます。
AIを普段から仕事や学習に活用している人はもちろん、「最近AIを使い始めた」という方にとっても、知っておくと便利な内容です。最後まで読めば、AIに“迷子”にされず、もっと上手に付き合うコツがつかめるはずですよ。
AIが「迷子」になるとはどういうことか?
ここで言う「迷子」とは、AIが会話を重ねるうちに回答の精度や一貫性が落ちていく状態を指します。最初は的確に答えていたのに、やり取りを繰り返すうちにズレが大きくなり、最終的には「なんでこうなった?」と首をかしげたくなる回答に変わってしまう…。そんな経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
この現象を理解するためには、会話の形態を区別する必要があります。
- シングルターン:1回のやり取りで必要な情報をすべて伝えて、まとめて回答してもらう方法。
- マルチターン:人間の会話のように、少しずつ情報を追加したり、後から条件を修正したりしながら進める方法。
研究によると、このマルチターンの会話スタイルこそが、AIが「迷子」になる原因だと分かっています。 ChatGPT-3.5やGPT-4といった旧世代モデルだけでなく、最新のGPT-5、Claude 3.7、Gemini 2.5 Proでも同じ傾向が観測されています。

つまりこれは、特定のAIだけの欠点ではなく、大規模言語モデル(LLM)全般に共通する性質と考えられるのです。
原因はなぜ起こるのか?
AIが会話を重ねるうちに「迷子」になる背景には、いくつかの仕組みがあります。人間なら「もう少し詳しく教えて」と確認できる場面でも、AIは違った行動を取ってしまうのです。
① 初期段階での仮説形成
AIは会話の早い段階で、まだ情報が不十分でも「おそらくこういうことを言いたいのだろう」と仮説を立ててしまう傾向があります。 このときの推測は必ずしも正確ではなく、むしろズレている場合も多いのですが、それを前提に会話を進めてしまいます。
② 仮説への固執
一度立てた仮説にAIは固執しやすいという特徴があります。たとえ新しい情報が追加されても、最初の仮定を捨てきれず、その枠組みの中で解釈しようとするため、結果として「間違いを修正できない」状態になりやすいのです。
③ 信頼性(安定性)の低下
こうして積み重なった誤解が、回答のバラつきを大きくし、「たまに当たるけど外れることも多い」不安定な状態を生み出します。研究の用語では「能力」自体(潜在的に正解を出す力)はあまり落ちないのに、「信頼性」(回答が安定して良いものになる確率)が大きく下がると説明されています。

つまり、AIが「迷子」になる原因は単なる性能不足ではなく、会話の進め方そのものに依存しているのです。
研究で試されたマルチターンのパターン
AIが会話の中で迷子になりやすいのはわかりましたが、具体的にどんなやり取りで精度が落ちるのでしょうか? 研究では、同じタスクに対して「一度にまとめて指示する場合」と「分けて指示する場合」を比較し、さらにマルチターンの方法をいくつか試しています。
① 小分け指示
情報をランダムに一つずつ小出しにしていく方法。 このやり方ではAIのスコアが大きく低下しました。AIが初期に立てた誤った仮説を修正できず、最終回答までその影響を引きずるからです。
② まとめ指示
断片的に与えられた情報を、そのまままとめて提示する方法。 こちらでは大きなスコア低下は見られず、比較的安定していました。最初から全体像を伝えた場合に近い状態を再現できるためです。
③ おさらい
情報を一つずつ渡したあと、最後に全体を整理してまとめ直す方法。 ある程度の改善は見られましたが、最初の小出しの影響が残るケースも多く、完全には補えませんでした。
④ 雪だるま式
最初に少しだけ伝え、そこから徐々に条件を増やして最終的に完璧な指示に近づけていく方法。 人間にとっては自然な会話形式ですが、AIはこのプロセスを苦手とし、結果のばらつきが大きくなりました。
これらの実験をまとめると、特に「小分け指示」でスコアが大きく下がり、最新モデルでも平均で39%も低下するという驚きの結果が出ています。

つまり「ちょっとずつ伝えた方が分かりやすいだろう」という人間の感覚は、AIには逆効果になることが多いのです。
AI迷子現象への対策
では、どうすればAIが「迷子」にならずに済むのでしょうか? 研究結果と実際の利用者の工夫から、有効とされる対策を3つ紹介します。
① 新しいチャットを開く
「なんだか話がかみ合わなくなってきた」と感じたら、思い切って新しいチャットで仕切り直すのがおすすめです。 AIは一度立てた仮説に固執しやすいため、既存の会話を修正するよりもゼロから始めた方が、結果的に早く正確な答えにたどり着けます。
② 最初のプロンプトに要件をまとめる
できるだけ最初の段階で、お願いしたいこと・背景・条件を一度に整理して伝えるのが効果的です。 マークダウンやYAML形式で箇条書きにすると、AIが構造を理解しやすく、意図がブレにくくなります。
③ 情報を引き継ぐ
複雑な作業でチャットを切り替える場合は、「これまでの会話をまとめて」とAIに指示し、その要約を新しいチャットに貼り付けてから続けるとスムーズです。 こうすることで、迷子になりかけた流れを断ち切りつつ、必要な情報はきちんと引き継げます。

要は、AIを“人間の会話相手”と同じように扱うのではなく、「仮説を早く固定してしまう存在」だと理解して接することが大切なのです。
使い分けが大切
ここまでの内容を見ると「AIとの会話は常に注意が必要なのでは?」と感じるかもしれません。 でも実際は、使い方や目的によって意識すべき度合いは変わります。
たとえば、ちょっとした雑談やアイデア出しの壁打ちなら、AIが多少“迷子”になっても問題はありません。むしろ予想外の発想が出てきて、発想の幅を広げるきっかけになることもあります。
一方で、正確さが求められる作業や複雑な依頼では、ここまで紹介した「最初にまとめる」「新しいチャットで仕切り直す」といった工夫が欠かせません。 要は、AIを使う場面に応じて「ラフに付き合うとき」と「厳密に付き合うとき」を切り替えるのが賢いやり方なのです。

この感覚を身につければ、AIをただの便利ツールとしてではなく、本当に頼れる相棒として活用できるようになりますよ。
まとめ
AIは会話を重ねると「迷子」になり、回答の精度や安定性が下がることがあります。これは性能の限界というより、AIの会話の進め方に起因する性質です。
- AIは早い段階で仮説を立て、それに固執しやすい
- 情報を小出しにすると誤解が積み重なりやすい
- 最新モデルでもマルチターンで平均39%スコア低下
この「迷子現象」を防ぐには、 新しいチャットで仕切り直す・最初のプロンプトにまとめて伝える・情報を整理して引き継ぐといった工夫が効果的です。 一方で、雑談やアイデア出しのようなラフな利用では気にしすぎる必要はなく、状況に応じた使い分けがポイントになります。
AIは万能ではありませんが、特性を理解して接すれば、ビジネスから学習、日常の工夫まで、もっと頼れる相棒になってくれます。今日からぜひ、迷子にならない使い方を実践してみてくださいね。
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よくある質問(FAQ)
- QChatGPTに限らずどのAIでも「迷子」になるの?
- A
はい。研究ではChatGPTだけでなく、ClaudeやGeminiといった最新モデルでも同じ傾向が確認されています。つまり、これはAI全般に共通する性質です。
- Q長いやり取りをしても正確に答えさせるコツは?
- A
最初のプロンプトにできるだけ情報をまとめて渡すのがポイントです。
YAMLや箇条書きで整理するとAIが構造を理解しやすく、ブレを減らせます。
- Q雑談やアイデア出しでも新しいチャットに切り替えるべき?
- A
いいえ。軽い用途ならそこまで神経質になる必要はありません。
むしろ「迷子」から生まれる意外な発想がプラスに働くこともあります。用途に応じて使い分けるのがおすすめです。









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