画像生成AIを使っていて、「このプロンプト、著作権的に大丈夫かな」「知らない間に誰かの権利を侵害してないかな」と、ふと不安になったことはありませんか。
便利だからこそ気軽に使ってしまいがちですが、画像生成AIには意外と見落としやすい危険性がいくつも潜んでいます。
この記事では、画像生成AIを使う上で知っておきたい5つの危険性と、安全に活用するための具体的なチェックポイントをまとめてご紹介します。
画像生成AIで気をつけたい著作権侵害とは
画像生成AIで作った画像も、既存の作品と「似ていて」「それをもとに作られた」と判断されれば、著作権侵害にあたる可能性があります。これは人間がイラストを描く場合と、考え方自体は変わりません。
この判断のカギになるのが、「類似性」と「依拠性」というふたつの視点です。類似性は、生成された画像が既存の作品の特徴を感じ取れるほど似ているかどうか。依拠性は、その既存の作品をもとにして作られたかどうか、という点を指します。
ここで注意したいのが、「知らなかったから大丈夫」とは言い切れないところです。AIの学習データに元の作品が含まれていた場合、利用者自身がその作品を知らなくても、依拠性があると判断される可能性があるんです。
依拠性を高めてしまいやすいNG行為
特定のキャラクター名や作家名をそのままプロンプトに入力したり、既存の画像を読み込ませて似た構図で生成したりする行為は、依拠性を高める要因になります。悪気がなくても、こうした使い方は避けておくと安心です。
ワンポイント
Adobe Fireflyのように、著作権がクリアなデータのみを学習させているツールを選ぶと、こうしたリスクをぐっと減らすことができます。
もし生成した画像を商用利用したい場合は、著作権とは別に利用規約のチェックも欠かせません。くわしい注意点は、こちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
肖像権・パブリシティ権の侵害とディープフェイクの脅威
実在する人物の顔や容姿を無断でAI画像に使うと、肖像権やパブリシティ権の侵害につながるおそれがあります。「本人に似せて作っただけ」のつもりでも、権利侵害と判断されるケースがあるんです。
実際、主要SNSでは肖像権・パブリシティ権の侵害が疑われる投稿によって、経済的な損失が生まれているという指摘もあります。試算では数十億円規模ともいわれており、決して他人事ではない規模感です。
さらに深刻なのが、ディープフェイクの悪用です。AIで本物そっくりに合成された偽動画が、政治的な情報操作に使われたり、未成年者を含む不適切な画像をもとにした恐喝行為に発展したりする事例が、世界各国で増えてきています。
ディープフェイクによる社会的な悪用事例
ディープフェイクは、エンタメ目的のパロディとして使われる一方で、本人の名誉を傷つけたり、事実と異なる情報を拡散させたりする道具にもなり得ます。「面白いから」という軽い気持ちで作った画像が、思わぬトラブルの火種になることもあるので注意が必要です。
実在の人物の顔を使った画像は、たとえ加工していても本人と特定できる場合は肖像権侵害にあたる可能性があります。SNS投稿や広告への使用は特に慎重に判断しましょう。
入力した情報が漏れてしまうリスクとは
画像生成AIに入力したプロンプトや添付ファイルは、設定によってはそのままAIの学習データとして使われることがあります。この場合、入力した内容が別のユーザーへの回答に反映され、外部に流出してしまう可能性があるんです。
「画像を作るだけだから関係ない」と思われがちですが、プロンプトの中にうっかり社外秘の情報や個人情報を書き込んでしまうと、それも漏洩の対象になり得ます。実際に、従業員がソースコードをAIツールに入力したことがきっかけで、内部情報が漏れてしまったというインシデントも報告されています。
こうしたリスクを避けるには、そもそも入力してよい情報とそうでない情報の線引きを、自分の中であらかじめ持っておくことが大切です。
未発表の商品情報や顧客リスト、他人の著作物など、外部に出したくない情報はプロンプトや添付ファイルに含めないようにしましょう。
情報漏洩の具体的な対策について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
AIそのものを狙う攻撃とAI製マルウェアの脅威
画像生成AIのリスクは、利用者側の使い方だけにとどまりません。AIモデル自体の仕組みや学習プロセスを狙った、これまでにはなかったタイプの攻撃も存在します。
代表的なものが、ポイズニング攻撃とプライバシー攻撃です。ポイズニング攻撃は、AIの学習データに有害なデータをこっそり混ぜ込み、出力結果や性能を意図的におかしくさせる手口。プライバシー攻撃は、AIモデルの中から学習に使われた機密情報を、質問の仕方を工夫することで引き出そうとする手口です。
ポイズニング攻撃とプライバシー攻撃の違い
どちらも「AIを外から直接壊す」のではなく、「学習データや出力の仕組みを内側から狙う」という点が共通しています。利用者が気づかないうちにAIの動作が歪められたり、意図しない形で情報が漏れ出したりするおそれがあるため、開発者側だけでなく、ツールを選ぶ利用者側の意識も大切になってきます。
AI製マルウェアによる感染リスク
近年では、生成AIを悪用して作られたマルウェアの存在も確認されています。Rhadamanthysのように、コードを難読化したり状況に応じて動きを変えたりする機能を持つマルウェアは、従来のセキュリティソフトでは感染を検知しづらいという特徴があります。
こうした脅威は日々進化しているため、「一度対策すれば終わり」ではなく、継続的に情報をアップデートしていく姿勢が欠かせません。
AIブラウザを狙った別の攻撃手法について知りたい方は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
不自然な生成物が引き起こす炎上リスク
画像生成AIのリスクは、法律やセキュリティの話だけではありません。AIならではの「なんとなく不自然な仕上がり」が、ブランドイメージの低下や炎上につながることもあります。
人間に近づけば近づくほど、逆にわずかな違和感が強い不快感に変わってしまう現象は「不気味の谷」と呼ばれています。画像生成AIが作るキャラクターや人物も、この現象の影響を受けやすいジャンルのひとつです。
実際に、日本マクドナルドがAI生成のキャラクターを使った広告を展開した際、その容姿が「不自然で不気味」と受け止められ、SNS上でネガティブな反応が広がった事例があります。制作側に悪意がなくても、受け手の感じ方次第で炎上につながってしまう、というのがこのリスクの厄介なところです。
広告やSNS投稿にAI生成画像を使う際は、公開前に第三者の目でチェックしてもらい、「違和感がないか」を確認しておくと安心です。
権利侵害が発覚した場合に想定されるリスクとは
ここまで見てきたような著作権侵害や肖像権侵害が実際に発覚してしまった場合、どの程度の影響があるのか気になりますよね。想定されるリスクは、大きく3つの段階に分けて考えることができます。
まず1つ目は、商業的な損害です。侵害が指摘された時点で、コンテンツの販売停止や公表の中止、すでに作った在庫の廃棄処分を求められることがあります。取引先との契約に違反したとみなされ、信頼関係そのものが損なわれるケースも少なくありません。
2つ目は、民事上の金銭的リスクです。不法行為として損害賠償を請求されたり、謝罪広告の掲載といった名誉回復措置を求められたりする可能性があります。
3つ目は、刑事責任です。悪質性が高いと判断された場合、著作権法上は個人に懲役刑や罰金刑が科されるほか、法人に対しても高額な罰金が科される可能性があります。
実際に罰則が適用されるかどうかは、侵害の悪質性や個別の事情によって大きく変わります。心当たりがある場合は、自己判断せず弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
このように、「知らなかった」では済まされない重い結果につながることもあるからこそ、事前の対策が重要になってきます。著作権や利用規約について画像に限らずもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
安全に使うためのツール選定と社内ルール作り
ここまでの危険性を踏まえて、実際にどう対策すればいいのか気になっている方も多いはずです。ここからは、今日から実践できる具体的な対策を、ステップに分けてご紹介していきます。まずは「ツール選び」と「ルール作り」の2つから始めましょう。
学習データが透明なツールを選ぶポイント
安全に使うための操作として、まずは利用するAIツール自体を見直すところから始めます。
- 学習データの出どころが公開されているツールを選ぶ。Adobe Fireflyのように、著作権がクリアなデータのみを学習させ、法人向けに法的な補償を用意しているツールを優先すると安心です。
- 企業で利用する場合はエンタープライズ版など、入力データが学習に使われない設定(オプトアウト)になっているプランを契約する。
- 契約後は、管理画面の設定項目からオプトアウトが実際に反映されているかを必ず確認する。
この確認を怠ると、無料版のまま気づかず機密情報を入力し続けてしまう、といった事態にもつながりかねません。
社内ガイドラインに入れるべき3つのルール
個人での利用はもちろん、チームや会社でAIを使う場合は、あらかじめルールを明文化しておくことがトラブル防止の近道になります。
- 入力禁止情報を定義する。未発表の製品情報や顧客リスト、他人の著作物などは入力しないと明確に決めておく。
- プロンプト入力のルールを作る。特定のキャラクター名や実在の作家名を指定しないなど、依拠性を高める行為を禁止する。
- AI生成であることを明示する運用を検討する。生成した画像には「AIにより生成」といった注釈や電子透かしを入れ、透明性を確保する。
ワンポイント
ルールは一度作って終わりではなく、実際に使いながら「守りにくい部分」があれば見直していくくらいの気持ちで運用すると、無理なく続けられます。
画像生成AIに限らず、AIツール全般の安全な使い方をもっと知りたい方は、こちらの記事も参考になります。
公開前のチェック体制と防御技術・教育の重要性
ツールとルールを整えたら、次は「公開する前の最終確認」と「長く安全に使い続けるための仕組みづくり」です。ここを丁寧に行うかどうかで、トラブルに発展するかどうかが大きく変わってきます。
公開前に行うべき2つの人的チェック
生成した画像を実際に使う前には、次の手順で確認しておくと安心です。
- 類似性チェックを行う。Google画像検索やコピペチェックツールを使って、既存の作品と酷似していないかを確認する。
- 権利侵害の確認を行う。作成物に第三者の肖像や商標が写り込んでいないか、法務担当者や上長など、制作者以外の目でダブルチェックする。
特に2つ目のダブルチェックは、制作した本人だけでは気づきにくい見落としを拾うための工程です。ひとりで完結させず、必ず別の視点を入れるようにしましょう。
学習防止ツールと継続的なリテラシー教育
ここからは、より長期的な視点での対策です。自社のイラストや写真がAIに無断で学習されるのを防ぎたい場合、GlazeやNightshadeといったツールを使う方法があります。これらは画像に目では判別しづらい特殊なノイズを加えることで、AIによる無断学習から作品を守る仕組みです。
また、AIを取り巻くルールやトラブル事例は移り変わりが早いため、一度学んだ知識をアップデートし続けることも欠かせません。定期的な研修などを通じて、組織全体のセキュリティ意識を保っておくと安心です。
AI関連の法制度は過渡期にあり、頻繁に見直しが行われています。文化庁や総務省が公表する最新のガイドラインを定期的に確認し、社内ルールをそのつどアップデートしていきましょう。
まとめ
画像生成AIには、著作権侵害、肖像権侵害とディープフェイク、情報漏洩、AIを狙った攻撃、そして炎上リスクという5つの危険性が潜んでいます。どれも「知らなかった」では済まされない結果につながる可能性があるものばかりです。
とはいえ、危険性を正しく理解し、ツール選びや社内ルール、公開前のチェック体制を整えておけば、リスクは十分にコントロールできます。

完璧な対策を目指すよりも、まずは自分やチームの使い方を一度見直し、無理なく続けられる運用ルールを持つことから始めてみてください。
よくある質問
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Q画像生成AIで作った画像は、自分の著作物として保護されますか?
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AAIが指示文だけで自動的に生成した画像は、人間の創作的な関与が乏しいとみなされ、現状では著作物として保護されにくいという考え方が一般的です。構図の細かい指定や、生成後に自分で大きく加筆・編集を加えるなど、人の創作性が加わっている部分があるかどうかがポイントになります。判断に迷う場合は、専門家に相談したうえで扱いを検討することをおすすめします。
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QSNSに個人的に投稿するだけでも著作権侵害になる可能性はありますか?
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Aはい、可能性はあります。「非公開のつもりだった」「個人利用のつもりだった」としても、SNSへの投稿は不特定多数が閲覧できる状態になるため、著作権法上の「公表」に該当しうると考えられています。ビジネス用途でなくても油断せず、既存の作品と似すぎていないかを意識しておくと安心です。
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Q無料版の画像生成AIは、有料版よりも情報漏洩のリスクが高いのでしょうか?
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A一概には言えませんが、無料版は入力データが学習に利用される設定になっていることが多く、注意が必要です。一方でエンタープライズ版などの有料プランでは、入力データを学習に使わない「オプトアウト」設定が用意されている場合があります。無料・有料という料金の違いよりも、学習利用の設定がどうなっているかを契約時にきちんと確認することが大切です。














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