「AI音楽って結局、著作権的に大丈夫なの?」
SunoやUdioでサクッと曲が作れる時代になったからこそ、ふとそんな不安がよぎった方も多いのではないでしょうか。ニュースで「AI音楽 訴訟」という文字を見かけて、なんだか怖くなってしまった方もいるかもしれません。
この記事では、SunoやUdioをめぐる著作権訴訟の今の状況から、日本のJASRACがAI生成曲をどう扱っているか、そして商用利用する際にどこまでがセーフなのかまで、順番に整理していきます。
AI音楽は著作権侵害なのか?今の結論
先にお伝えすると、「AI音楽を使うこと自体」が違法というわけではありません。ただし、AIが曲を作る「仕組み」の部分で、いくつかの国で法的な争いが起きているのが今の状況です。ここを混同してしまうと、必要以上に怖がってしまったり、逆に油断しすぎてしまったりするので、まずは全体像から整理していきますね。
整理すると、ポイントは大きく3つあります。
- AIが自動で作った曲そのものには、基本的に著作権が発生しない
- 問題になっているのは「AIが学習する段階で、既存の曲を無断で使ったかどうか」という部分
- この学習方法をめぐって、アメリカやドイツ、そして日本でもそれぞれ違う形で判断が進んでいる
つまり「AIで作った曲を使う」こと自体と、「その曲を作ったAIが、学習の過程で誰かの著作権を侵害していないか」ということは、実は別の問題なんです。ここを分けて考えられるようになると、ニュースの見方もぐっとわかりやすくなります。
ワンポイント
「AIが作った曲だから、誰でも自由に使っていい」というのはよくある誤解です。AI生成物そのものに著作権がないことと、その曲が既存の楽曲の権利を侵害していないかは、まったく別の話として考える必要があります。
実際、アメリカではレコード会社が中心になってSunoとUdioを訴え、ドイツでは著作権管理団体のGEMAがSunoを訴えて実際に勝訴しました。日本ではJASRACが「AIが作った曲はどこまで著作物として扱うか」という方針を独自に公表しています。

「違法か合法か」の二択ではなく、国やケースによって少しずつ判断が積み重なっている段階だと捉えておくと、この後の話がスムーズに理解できるはずです。
Suno・Udio訴訟は今どうなっている?
「結局、SunoとUdioって訴えられたままなの?それとも解決したの?」というのが、多くの方が気になるところだと思います。実はこれ、会社ごと・ツールごとにバラバラなんです。ひとまとめに「AI音楽の訴訟」と考えてしまうと状況を見誤りやすいので、ここで整理しておきましょう。
2024年6月、アメリカの大手レコード会社3社(UMG・ワーナー・ソニー)が、業界団体RIAAを通じてSunoとUdioを著作権侵害で提訴しました。既存の楽曲を無断で学習に使ったのではないか、というのが争いの中心です。それから約1年半かけて、会社ごとに対応が分かれてきました。
| レコード会社 | Udioとの関係 | Sunoとの関係 |
|---|---|---|
| UMG(ユニバーサル) | 和解済み(2025年10月) | 係争中 |
| WMG(ワーナー) | 和解済み(2025年11月) | 和解済み(2025年11月) |
| Sony Music | 係争中 | 係争中 |
この表を見ると、ワーナーはSuno・Udioの両方と和解している一方、ソニーはどちらとも係争を続けていることがわかります。UMGはUdioとだけ和解し、Sunoとはまだ争っている状態です。同じ「AI音楽の会社」でも、抱えている法的リスクの温度感がまったく違うんですね。
「和解した」と聞くと、もう問題がすべて解決したように感じるかもしれません。ですが和解の中身は、多くの場合「今後は正式にライセンス契約を結んで使わせてもらう」という形への切り替えです。過去の使い方が問題なかったと認められたわけではない点は、覚えておくとよいでしょう。
さらに、レコード会社とAI企業の和解が進む一方で、実際に楽曲を演奏したミュージシャンたちからは「自分たちには報酬が渡っていない」という声も上がっています。アメリカの音楽家組合が、和解したレコード会社側を訴えるという動きも出てきました。

訴訟が一段落したように見えても、権利をめぐる調整はまだ続いているというのが、2026年8月時点でのリアルな状況です。
GEMA対Suno判決は何を意味する?
アメリカでは訴訟が「和解」という形で決着するケースが目立ちますが、ドイツでは少し違う展開がありました。2026年7月31日、ドイツの著作権管理団体GEMAが起こした裁判で、ミュンヘン地方裁判所がSunoの著作権侵害を正式に認める判決を下したのです。これは「話し合いで解決した」のではなく、裁判所が「侵害である」とはっきり判断したという点で、これまでの流れとは意味合いが異なります。
この裁判は2025年1月、GEMAがSunoを相手取って起こしたものでした。Boney M.の「Rasputin」やAlphavilleの「Forever Young」など、ドイツで有名な楽曲がSunoの学習に無断で使われたのではないか、というのが争点です。裁判所は、Sunoに対して収益の開示と損害賠償の支払いを命じました。ただし賠償額そのものは、この記事を書いている時点ではまだ確定していません。Sunoは控訴を検討すると表明しているため、今後さらに争いが続く可能性もあります。
ここで気になるのが、「ドイツの裁判なんて、日本で使っている自分には関係ないのでは?」という点かもしれません。ですが実際には、そうとも言い切れません。海外の裁判所がAI音楽サービスに対して明確な判断を下すことで、そのサービス自体の利用規約や運営方針が世界規模で見直される可能性があるからです。使っているツールが海外発である以上、こうした動きは巡り巡って日本のユーザーにも影響してきます。
ワンポイント
この裁判では「メモリゼーション(記憶)」という言葉がキーワードになりました。AIが学習した楽曲の情報を、パラメータの中にそのまま覚え込んでしまい、それが生成結果ににじみ出てしまう現象のことです。裁判所は、この記憶の仕組みが著作権侵害にあたると判断した、と報じられています。
なお、この判決はあくまでドイツの著作権法のもとで、Sunoと特定の6曲について出されたものです。すべてのAI音楽サービスに一律に当てはまるルールが確定した、というわけではありません。

とはいえ、AI音楽をめぐる法的な判断が少しずつ具体的になってきているという流れは、覚えておいて損はないはずです。
JASRACはAI生成曲をどう扱う?
ここまではアメリカやドイツの話でしたが、「じゃあ日本ではどうなの?」と気になった方も多いのではないでしょうか。日本では、音楽の著作権を管理しているJASRAC(日本音楽著作権協会)が、AIで作った曲をどう扱うかについて、独自の方針を公表しています。ポイントは「人間がどこまで曲作りに関わったか」という一点に絞られます。
JASRACの方針は、大きく3つのパターンに分かれています。それぞれ管理の対象になるかどうかが変わってくるので、自分の作り方がどれに当てはまるか確認してみてください。
| 曲の作り方 | JASRACの管理対象 |
|---|---|
| 歌詞・メロディともにAIが自動生成 | 対象外(著作物として扱われない) |
| 歌詞かメロディの片方だけ人間が創作 | 人間が作った部分のみ対象 |
| 人間が作詞作曲し、AIはアレンジのみ | 通常どおり全体が対象 |
たとえば「明るいポップソングを作って」とAIに指示して、歌詞もメロディも丸ごと生成してもらった曲は、著作物として認められず、JASRACの管理対象にはなりません。一方で、歌詞は自分で書いて、メロディだけAIに作ってもらった場合は、歌詞の部分だけがJASRACの管理対象になります。曲の利用時にどちらが使われたかによって、管理される割合も変わってくる仕組みです。
ここで気をつけたいのが、「JASRACが管理していない=誰でも自由に使っていい」という考え方です。実はこれ、逆の意味を持っています。管理対象外というのは、その曲が著作物として法的に守られていない状態を指しているだけで、自分の作品として第三者の無断利用を止めたり、権利を主張したりすることが難しくなるという側面もあるのです。
「歌詞だけ自分で書いたから、この曲は完全に自分の作品だ」と思ってしまうのも、混同しやすいポイントです。JASRACの扱いでは歌詞とメロディは別々に判定されるため、AIが作ったメロディの部分については、自分の著作物としては認められません。曲全体をオリジナルとして扱いたい場合は、メロディ作りにもきちんと関わる必要があります。
つまり、「どこまで自分の手で作ったか」が、日本国内での権利の扱われ方をそのまま左右するということです。

次は、この考え方をふまえたうえで、実際に商用利用する場合にどこまでがセーフなのか、具体的な境界線を見ていきましょう。
商用利用でOK/NGを分ける境界線は?
ここまで読んで、一番気になるのは「じゃあ結局、自分の使い方は大丈夫なの?」という点だと思います。個人で楽しむだけなのか、収益化まで考えているのかによって、注意すべきレベルはかなり変わってきます。ここでは利用シーンごとに、どこまで気をつければいいのかを整理していきますね。
まず大前提として、利用シーンは大きく3段階に分けて考えるとわかりやすいです。
- 個人で聴く・非公開で制作するだけ:リスクは比較的低め
- SNSやYouTubeに投稿する(収益化なし):利用規約の確認が必須
- 楽曲販売・企業案件・広告での利用:有料プランの契約と、より慎重な確認が必要
個人で聴くだけであれば、今すぐ大きなトラブルに発展する可能性は高くありません。ただしSNSに投稿した時点で、それは「公開」という行為になります。投稿先のプラットフォームやAIツール側の利用規約に、商用利用や公開に関する制限がないかを一度確認しておくと安心です。
そして楽曲販売や企業からの依頼で使う場合は、話が変わってきます。この場合は無料プランのままではなく、商用利用が明確に許可されている有料プランを契約することが基本になります。あわせて、生成した曲が既存の有名な曲と似すぎていないか、自分の耳や専用ツールで確認しておく作業も欠かせません。
チェックすべきポイントをまとめると、次のようになります。
- ✅ 使っているプランが商用利用を許可しているか確認したか
- ✅ 収益化の条件(メディアの種類・地域など)を規約で確認したか
- ✅ 生成した曲が既存楽曲と似ていないか、耳で確認したか
- ✅ いつ・どんなプロンプトで生成したか、記録を残しているか
もう少し詳しく、著作権や利用規約まわりの考え方を整理したい場合は、こちらの記事もあわせてチェックしてみてください。
「収益化するかどうか」という一点が、気をつけるべきレベルを大きく分ける境界線になります。

次は、よくある勘違いのひとつ、「和解したツールを使えばもう安心」という考え方について、もう少し踏み込んで見ていきます。
和解済みツールを使えば安全と言えるのか?
前の章で、レコード会社ごとに和解の状況がバラバラだという話をしました。ここで「じゃあ和解済みのツールを選べば、もう安心なんじゃないの?」と思った方もいるかもしれません。ですが、実はそう単純な話でもないんです。
たとえばワーナーはSuno・Udioの両方と和解していますが、これはあくまでワーナーが管理している楽曲に関しての話です。ソニーやUMGが管理している楽曲については、まだ係争中の部分が残っています。つまり同じSunoというツールを使っていても、生成のもとになった楽曲がどのレーベルのものかによって、リスクの大きさが変わってくる可能性があるということです。
具体例で考えてみましょう。あるツールがワーナー系アーティストの楽曲を学習していた部分については、和解によってライセンス契約に切り替わっているとします。一方で、同じツールがソニー系アーティストの楽曲も学習していた場合、その部分については係争がまだ続いている、という状態がありえます。「ツール単位」で安全・危険を判断するのではなく、「学習元のレーベルとの関係」まで意識する必要があるわけです。
和解は「今後は正式に許可を得て使わせてもらう」という契約への切り替えであり、過去の使い方すべてが問題なかったと認められたわけではありません。さらに、和解によってレコード会社側にお金が入る一方で、実際に演奏したミュージシャンには報酬が届いていない、という指摘も出ています。アメリカの音楽家組合が、和解したレコード会社を訴えるという動きも実際に起きました。
こうした状況を踏まえると、「和解済み=完全に白」と考えるのではなく、「一部の権利関係が整理されつつある段階」くらいの温度感で捉えておくのが、今のところ現実的な受け止め方だと言えそうです。

次は、こうした不確実さがある中で、クリエイターとして具体的に何をしておけばいいのかを整理していきます。
クリエイターが今すぐ取るべき対策は?
ここまで訴訟や判決の話を見てきて、「結局、私は何をしておけばいいの?」というのが一番知りたいところだと思います。状況が変わり続けている以上、100%安全とは言い切れない部分もありますが、今の時点でできる対策はいくつかあります。順番に見ていきましょう。
- 商用利用が許可されている有料プランを契約する
無料プランのままだと、そもそも商用利用そのものが規約違反になっているケースがあります。楽曲販売や企業案件で使う予定があるなら、まず契約プランを見直しましょう。 - 生成した記録を残しておく
いつ・どんなプロンプトで・どのツールを使って作ったのかを、スプレッドシートなどに簡単でいいので残しておきます。後から使い方を問われた際、自分の制作過程を説明できる材料になります。 - AI任せで終わらせず、人の手でアレンジを加える
ボーカルを自分で録音したり、曲の構成を自分なりに変更したりすることで、人間としての創作的な関わりを残します。これはJASRACの管理対象になるかどうかにも直結する部分です。 - 既存の有名な曲と似すぎていないか確認する
完成した曲を自分の耳で聴き返し、メロディやリフが有名な曲に似ていないかをチェックします。可能であれば、自分以外の人にも聴いてもらうとより安心です。
この4つのステップに共通しているのは、「AIに全部お任せ」ではなく、自分自身の判断や手作業を少しでも間に挟むという考え方です。手間はかかりますが、この一手間があるかないかで、後々のトラブルへの備え方が大きく変わってきます。
Sunoを使って実際に曲を作っている方は、こちらの使い方ガイドも参考にしながら、契約プランや生成の記録を見直してみてください。

訴訟や判決のニュースはこれからも動き続けると思いますが、「記録を残す」「人の手を加える」という基本の姿勢さえ持っておけば、状況の変化にもある程度落ち着いて対応できるはずです。
よくある質問
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QAI音楽をBGMとして個人のVlogに使うだけでも著作権侵害になりますか?
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A個人で楽しむだけの利用に比べると、Vlogとして公開する時点でリスクはやや高くなります。ただし収益化していない個人チャンネルでの利用であれば、企業案件や楽曲販売ほど神経質になる必要はありません。心配な場合は、使っているツールの利用規約に「非営利での公開」に関する記載がないか確認しておくと安心です。収益化を考え始めたタイミングで、有料プランへの切り替えや規約の再確認を行うのがおすすめです。
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QSuno以外のツール(Udio・Lyria・MiniMax Audioなど)でも同じ注意点は当てはまりますか?
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A学習データの扱いや、レコード会社との和解・係争の状況はツールによって異なるため、「Sunoで気をつけたことをそのまま当てはめれば安心」とは言い切れません。ただし、商用利用の前に規約を確認する、生成記録を残す、人の手でアレンジを加えるといった基本の考え方は、どのツールを使う場合にも共通して役立ちます。ツールを乗り換えるたびに、そのツール独自の利用規約には目を通しておくとよいでしょう。
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Q訴訟が終わっていない今、AI音楽を使うこと自体をやめるべきですか?
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A現時点でAI音楽ツールの利用そのものが禁止されているわけではないため、使うこと自体をやめる必要はありません。大切なのは、個人利用と商用利用を分けて考え、収益化する場合には規約の確認や生成記録の保存といった備えをしておくことです。訴訟や判決の状況は今後も変わっていく可能性があるため、ニュースを定期的にチェックしながら、そのときどきの規約に合わせて使い方を見直していく姿勢が現実的だと言えます。











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